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第五章 公民館で武器調達


 ―――そして―――
「こんなの自転車と変わりもしねぇな」
 と三谷が余裕で言った。
 櫻井は髪の毛がグシャグシャなりながらも自分が生きていることに安心した。
 目の前には、公民館があった。
 二人は顔をあわせると壊れているドアから入った。
「アイツらどこだぁ?」
 とキョロキョロしながら櫻井が行った。すると、暗闇から光が見えた。ライトの光である。
「おーーーい」
 と花木と沖野が手を振りながら言った。
「はよこっちこい〜デブー」
 と沖野がコリもせず言った。と、
「ギャ……」
 櫻井の右ストレートが沖野の顔面に直撃した。
「すまんな。最近、耳の調子が悪くて聞き取れんかったわ」
 と笑いながら言った。
「お前もコリん奴だな〜」
 と花木が沖野の肩に手を乗せて言った。
「ぐ……このデ……」
 デブとはあえて言わなかった沖野。
少しは成長した(?)ようである。
「あれ、直樹とついでにアッキーは?」
 と三谷が二人がいないことに気づくと、花木が、
「直樹なら職員室でなんかやってるよ」
 と言った。
 みんなは、すぐさま、職員室に向かった。
「直樹、なにやってんだ?」と直樹に近づきながら聞いた。
「あの殺人鬼の正体さ。まさか、こんなことに資料があったとは……」
 と分厚い本を読みながら言った。
「で、何かわかったのか?」と三谷が聞く。
「ああ、あいつは、知っての通り人間では、無かった。あいつは軍事用の兵器だ」
「えぇぇ!! っていまさら驚くことでもないような気がするけど……。それにしても直樹、この短期間で見つけるとは……スゲェな」と三谷。
「まあね。こんぐらい朝飯前よ」と直樹。
「で、どうやってたおすのかとか書いてあるか?」と櫻井。
「この本には載ってないみたい。でも何とかなると思うよ」と直樹。
「ふ〜ん。こーなったらオレたちで倒すか!!」と三谷。
 しかし、一同は
「………………」とだまってしまった。
「……え、ダメ?」と三谷が言うと、
「だってこわいもん」と沖野がかなり弱気で言う。
「オレは……あんまりかな〜」と花木。
 そこへ直樹が、
「今はそんなこと話してる場合じゃない。どうやって逃げるかを考えろ!!」
「いいこと言うねーさすが直樹」と櫻井。
「そうだな。わりッ」と珍しく三谷が謝った。
「そんなことよりここに展示してあるものに使えそうなものないかな」と三谷
「なるほど。行ってみよっか」と花木。
「じゃあ、行くか。他に誰かいくか?」と三谷。
「オレはやめとくぞ。もうちょっと調べたいから。アッキー、オレを手伝え」と強引にアッキーを残すことにした直樹。
「わかった。なんかあったらまたここに来るわ。んじゃ。」と三谷がいってぞろぞろと引き連れて出て行った。
「よーし、アッキーそれらしい本を探すぞ」と直樹がまたとりかかった。


 一方、三谷組は……
「なんだ、なにもないじゃねーか!!」と半ギレ三谷が言った。
「そりゃ、公民館だしね……」と頭をかきながら櫻井が言った。
 しばらく、歩いていると、櫻井がふとあることを思い出した。
「そうだ、調理室から包丁持ってこようぜ」と言った。
 みんなでドタバタは知りながら調理室に向かったが
「くっ……ここもか……」と顔に手を当てながら櫻井が言った。調理室のドアは、鍵がかかっていたのである。
「三谷君、まかせた」とドアを指差し、櫻井が言った。お前やれよと言いかけた三谷だがあえて何も言わずドアを蹴り破った。
「よし、使えそうなもの片っ端から集めろ〜」と櫻井が大声で言うと、一斉に探し始めた。
「お、あったあった」と櫻井がずらりと並んだ包丁を見ながら言った。
「え〜と、肉切り包丁に野菜切りに……え〜い、みんなもってっちまえー(笑)」
 と言ったものの、持ちきれず、肉切り包丁だけにした櫻井。
 それを見ていた沖野は
(何やってんだか……あのデブは)と思った。
 すると、あるものを発見した三谷がにやりと笑い沖野を呼んだ。
「お〜い、沖野、ちょっとこい」
「なんか用か?」とポケットに手を入れながら三谷に近寄った沖野。
 三谷はまたにやりと笑い”カポッ”と沖野の頭にあるものをかぶせた。
「おお、沖野……結構似合うぞ(笑)」と感激した三谷。沖野にかぶせたあるものとは――鍋だ。
「おい、こら、何でオレが鍋かぶらんといかんのじゃ!!」と当たり前に切れた沖野。……が
「似合ってるぞ〜沖野」と花木がにっこり笑って言った。
「櫻井はどう思う?」と櫻井のほうを見て沖野が聞いた。
「だいじょうぶダ。にあうぞ(棒読み)」と無表情で言った。
 沖野はしぶしぶうなずいた。
「で、お前らは何使うんだ?」と櫻井はみんなに聞いた。
「オレはこの木刀と包丁で」と木刀を櫻井に向けながら言った。
「オレはフライパンでー」と大きいフライパンを片手に持って花木が言った。
「オレは……コレで……」と自信なさげの沖野が言った。
 手に持ったのは、ゴマをするときに使う棒である。
「よし、直樹んとこに戻るか」と櫻井が言った瞬間――ガシャン――
「今、何か音がしなかったか?」と不安な櫻井。
「もう追いついてきやがったのか?」と三谷が叫んだ。


2006/4/30


第六章 殺人鬼、その名は『X−001』


 その音は直樹にも、聞こえていた。
「なんだい今の音は!!」と直樹が読んでいた本から顔を上げながら言うと
「あ……あれ……」と言いながらアッキーは手に持っていた本を落とし、口を大きく開けて指をさしていた。
 直樹がその指の先を見てみると、なんと殺人鬼が入り口の扉をこじ開けようとしていた。
「やばい!! なんとかしないと」と言いながら職員室を見回すと、シャッターの開閉ボタンが右手のすぐ横にあるのを発見した。
「これで何とかなるか……」と言い、ボタンを押した。
 すると上からシャッターが閉まりだした。
「よし、これで少しは時間稼ぎになるな」と言いながら直樹は少しずつ見えなくなる殺人鬼を見ながら言った。
 そこへ三谷たちがやってきて、
「今の音はなんだったんだ」と三谷が聞いてきた。
「今殺人鬼があの扉を破ろうとしたから、直樹がシャッターを閉めたんだ」とホッとしたアッキーが言った。
「そうだったのか、直樹ナイス!!」と三谷が言った。
「でもなんかシャッターがガシャガシャいってるぞ」と櫻井が冷静にシャッターを指差しながらいった。
「うわっ、ほんとだ。もうすぐ破るんじゃない?」と沖野が心配して言った。
「ああ、たぶんね」と直樹が言うと沖野が身震いした。
 ここで突然花木が
「これ、だーちゃんたちに持ってきたよ」と言っていつのまにか包丁を2本取り出した。
「サンキュー」と直樹が言って、包丁を持った。
 アッキーもそれにならい包丁を持った。
「うん。これで一応武器を全員持ったな」と三谷が言うと、直樹が突然笑い出した。
「フフフ……アハハハハ……ゴメン、さっきからめっちゃ我慢しとったんだけど、もうだめ(笑)沖野、それ最高に似合う」
 と直樹が沖野の頭の上に乗っている鍋を指差していった。
 すると沖野が、
「うるさい!!」と言いながら頭の鍋を投げ捨てた。
 しかし、それをうまくキャッチした櫻井に速攻頭にかぶせられた。
 しかもそのときガーンという音がするほどの勢いでかぶせたので、少し鍋が変形してしまった。
「いってーな。このクソ櫻井……いって〜」……もちろん櫻井の悪口を言った沖野を、今度は足払いを掛けてすっ転ばした櫻井。
 そして櫻井は
「くっくっくっ。ほんと懲りないな〜」と言った。
「おい、バカやってる暇はなさそうだぞ」と三谷が言うと、シャッターを殺人鬼の爪がぶちぬいた。
「ほ〜ら、来た」と冷静に三谷が言うと、櫻井に
「走れ、バカ」と殴られた。
 もうすでにみんな走り出していたのだ。
「わりぃ」と笑いながら三谷は言った。
「とりあえずステージだ」と直樹が言って、みんあはステージに向かって走った。
 その間に殺人鬼はシャッターをぶちやぶり、向かってきた。
 そして、ステージに到着すると直樹は全員に
「別れろ!!」と言って自分は椅子の陰に隠れた。
 全員が隠れて数秒たつと扉をぶっ壊して殺人鬼が入ってきた。
 ちなみに今、櫻井と花木、三谷と直樹、沖野とアッキーがそれぞれ近くに隠れていた。
「おい、直樹、なんか作戦でもあるのか」と三谷が直樹に小声で言うと、直樹は
「あれからいろいろと探してみたけどはっきりとしたものは無かったんだよ。でも名前は分かったぜ。一応戦闘機として作ろうとしてたらしいから『試作型X−001』って名づけたらしい。でも完成させてはいけないって書いてあった。きっと、危なすぎると思ったからじゃねーかな」と直樹。
 あとその研究は、第二次世界大戦の最中にアメリカでやってたらしいよ」と言い終わると同時にX−001が襲い掛かってきた。
 間一髪のところで二人は回避した。
「特にいい情報は無いな。おおっと」と見たには避けながら言う。
「すまん。ここじゃあ、こんなもんしかわからん。もっと大きい図書館ならもっと良かったんだが……」と直樹が言い訳をした。
「うおっと。ってこいつオレを狙ってる!?」と避けながら三谷が言うと
「うおぉぉコ…ロス」とX−001が言った。
「……やっぱりぃ(笑)……うぉっと」と全ての攻撃を間一髪で避けながら言っていると、
「ぐおぉぉぉぉ」とX−001は叫んだ。
「何だ?」と三谷が言うと、ちょうど真後ろになっていた櫻井がX−001の背中に肉切り包丁を突き刺していた。
 さらには泣きがフライパンでX−001の頭を殴った。
「サンキュー櫻井、花木」と三谷が言って椅子の陰に隠れた。  しかし、頭を殴った後、花木に隙ができ、X−001が振り向きざまに振った腕の、ひじの辺りが花木の腕の辺りに当たり、3メートルほど吹っ飛んだ。
 その先には沖野とアッキーがいて、うまくは泣きを受け止めた。
「大丈夫か?花木」と沖野がいったが、花木は気絶していて反応が無かった。
「くそ〜アイツめ〜」と何もやっていないアッキーが起こった。
 しかしやはりなにもやらなかった。
 X−001は次の目標を櫻井に定め、無防備な櫻井に鋭い爪を振りかざした。
 しかし、間一髪のところで三谷が間に入り、包丁で爪を受け流した。
 だが、そのときに包丁は折れてしまった。
 そして、受け流されてバランスを失ったX−001はそこに倒れた。
「すまんな、助かったわ……」と櫻井が言った。
「別に、気にすんな」と少しかっこつけて三谷は言う。
「でもこんなことやっててもラチがあかん。逃げよう」と三谷が櫻井とX−001から遠ざかりながら言った。
「う〜ん。とりあえずここから出るか」と直樹が言うと速攻で三谷が
「どーやって」と突っ込んだ。


2006/04/30


第七章 殺人鬼との奮闘の末に……?


「う〜ん」と直樹は悩んでしまった。
 すると……
「今から考えるから、しばらくあいつの相手をしてくれ」とフツーに直樹が言った。
 三谷と櫻井は、ゼハーゼハー言いながら顔を見合わせた。
「つまり俺らは、えさってことか」と櫻井は言った。
「そうさ、お前は豚だからな、役にぴったりだ。ハハハ」と腰に手をあて沖野が  笑いながら言って、櫻井はぶん殴ってやろうかと思ったが、そのとき”ブンッ”とX−001が沖野を吹っ飛ばした。
 沖野は5メートルふっとんだ。
 そして壁に頭から突っ込んだ。
 みんなは
「大丈夫か、沖野!?」と沖野を心配したが、櫻井は、にやりと笑い(オレを豚呼ばわりした報いだ)と思った。
 みんな、沖野が死んだと思ったがざんねn……ラッキーなことに生きていた。
「あー……くそいってぇ」と頭を押さえながら沖野が言った。
 どうやら頭にかぶっていた鍋で助かったようだ。
「沖野〜生きてたか。心配したぞ〜(嘘)」と手を振りながら櫻井が言った。
 X−001は、アッキーを狙い始めた。
 アッキーはとっさに振り向け逃げようとしたが、すぐ後ろは壁だったのでものすごい勢いで突っ込んだ。
 アッキーは気絶……はしなかったものの、鼻血をたらしていた。
 おまけに天井の照明が2.3個落ちてきた。
「アッキー、大丈夫かぁ?」と笑いをこらえながら櫻井が言った。
 アッキーは泣きながら鼻血をたらして四つんばいになって逃げていった。
 櫻井は我慢しきれなくなり大声で笑っていた。
 それが気に食わなかったのかX−001は、また櫻井を狙い、じわじわ押し寄せてきた。
「またオレか……」といらいらした櫻井は壁を思いっきり蹴った。
 すると、X−001の上から照明が落ちてきてX−001の頭に当たってX−001は、倒れた。
 櫻井は倒れたX−001に近づき背中に刺さっていた包丁をひっこぬいた。
 そして片足をX−001にのせ
「正義はか〜〜つ!!」とVサインをしながら桜井は叫んだ。
 と、上から三谷が上から顔を出した。
「何が正義は勝だ……誰が照明を落としてやったと思ってるんだ」
 照明が落ちてきたのは、櫻井が壁を蹴ったからではなく、単に三谷が照明を落としていただけだったのだ。
 櫻井は(ちっ……いいとこどりめ)と思った。
 アッキーはいまだに鼻血が止まらないらしく、袖を真っ赤に染めていた。
 すると見たには、そこから飛び降りた。
 しかしその下にはアッキーがたらした鼻血の水溜りができていて、三谷は、すっころんで頭を打った……
「あんなところから飛び降りるからだっ」と櫻井が言い放った。
 三谷は頭を押さえながら
「……こんなところに赤い水たまりがあるから悪いんだ……」と嘆いた。
 それを見ていたアッキーは
「ごめん」とお辞儀をした。
「いや、それよりお前、鼻血拭けよ……」とさり気に櫻井が突っ込んだ。
 そして三谷が直樹に
「おい、直樹、どうするか決まったか?」と聞いたがなんと直樹はぼけっとしていたのである。
 会場は静まり返ったが三谷が自分の靴をかたっぽ脱ぎ
「直樹ー起きろー」と靴を直樹の顔面にぶつけたのであった。
 直樹はむっと起き上がり、周りをきょろきょろ見渡した。
「わりぃ、ちょっといねむりしちまった」とスマイルで直樹が言った。
 櫻井は直樹をぶんなんぐろうとしたが、三谷にとめられた。
「で、どうするんだ?直樹」と三谷が聞いた。
「とにかく外に出るか」と直樹が答えた。
 どうやら寝ていただけで何も考えていなかったようだ……
 会場を出ようとしたが、突然X−001が目を覚まし、櫻井を人質に取った。
「ぬおっ!? 離せ、こら」と櫻井がもがいたがびくともしない。
 すると花木が
「オレがフライパンで助けてやる」といつのまにか目を覚まして言った。
 花木が、フライパンを投げるそぶりを見せたので櫻井が
「待て、待て、ストップストップ……お前そんなことしたらオレに当たる……」  とあわてていったが花木は、無視して投げた。
「うわあぁぁぁ」と櫻井が叫んだ。
 フライパンは、櫻井の顔面に当たり、足元に転げ落ちた。 「ぐおっ……花木テメェ……」と涙目で桜井が言った。
「あ〜ごめん〜」とどうみても謝る気が無い花木が言った。
 と、そこへ沖野が
「よし、次はオレだ」と、木の棒を持ちどーみても櫻井を狙っている。
「おい、……もしオレにあてたら、ただじゃおかねえからな」と沖野をにらんで櫻井が言ったが
「フフフ……日ごろの恨み、思い知れ」と言い沖野は、棒を投げた。
「うわあぁぁぁ」と櫻井はまた叫んだが、沖野はミスり、なんとX−001の顔面に当たったのだ。
 X−001は、予想外の攻撃によろけて、その隙に櫻井は逃げることに成功した。
 沖野は(くっ……運のいい奴め)と思ったが、実際のところ自分が投げるのが下手なことに気づかない。
「ふー……助かったわ」と櫻井が言った。
 そして、パッと沖野のほうを振り向き、沖野に近づいていった。
 沖野は、心臓が、張り裂けそうなほどドキッとしている。
 沖野の目の前に来た櫻井は、ぐっと、こぶしを振り上げた。
 沖野は、殴られると思い、目をぎゅっと閉じたが櫻井はコツンと頭を軽くたたいただけだった。
「さっちゃん、やっさしー」と花木が言うと、櫻井はギロッと花木をにらんだ。
 花木はビビリ、三谷の後ろに隠れた。
 すると三谷が
「おい、櫻井」
「なんだ?」
「後は任せた」
「なんとぉ!?」と言い合っていると、櫻井を残して、みんな隠れてしまった。
 桜井は、くそ〜と思いつつ、トイレに走った。
「はやく、はやく……」と言いつつ、バケツに水を汲んでいる櫻井
「よ〜し、溜まったぁ」とバケツに水をいっぱいまで入れて、トイレを出た。
 会場の入り口にバケツをおき、何かを探しに言った。
「スイッチつきの延長コード、延長コードォ」とキョロキョロしたが、
「ない!!」と櫻井が叫んだ。すると
「櫻井、これを」と三谷が延長コードを投げてきたのである。
「フッ、さすが三谷」と桜井が言う。
「てか、バケツだけじゃ水足りないか……」と櫻井が悩んでいると
「まかせろぉ」と花木。
「花木」と櫻井が言った。
 桜井は、壁に張り付いたコードを包丁で切り、スイッチつき延長コードにさした。
「どうだ、これで感電させてやる」とかっこつけて桜井は言った。
「くらえ〜」と花木が蛇口をひねると、勢いよく水が噴出しX−001に掛け続けた。
「三谷、スイッチオーン」と櫻井が言うと、三谷は電源をオンにした。
 切れた延長コードの先はじりじりと、電気が走っている。
 それを、X−001に押し付けようとしたさくらいだが、X−001のほうがリーチが長く、X−001のグーパンチをもろに食らってしまった。
 櫻井は2メートルふっとんだ。
「よくも、櫻井をー」と櫻井の変わりに三谷がコードを持った。
「櫻井のかたきー」とX−001に向かってコードを投げた。
 そのとき櫻井は思った(オレはまだ死んでねぇぞ)と……
 まっすぐ飛んでいったコードはX−001に見事命中。
 X−001は叫び声を上げながら感電したが、なおも前に進もうとする。
 一歩一歩、三谷に近づいてくると
「しつけぇんだよ、テメェは!!」とキレた三谷が木刀でX−001を殴った。
 強すぎて木刀は、半分に折れた。
 木刀の折れた先はとがっており、それをX−001の胸に突き刺した。
 すると、X−001は、静かに倒れた。
「正義は勝ーーつ!!」と見たには馬鹿でかい声で叫んだ。
 もうろうとする意識の中で櫻井はまた思った(このいいとこどりめ)と……
 すると「お、終わったか」と鍋をかぶった沖野がひょこっと姿を見せた。
「オレがこいつをぶっ倒してやった」と三谷が言った。
 すると、
「すげーな三谷」と直樹。
「さすが三谷」とついでにアッキーも顔を見せた。
 櫻井は、壁にもたれかかって座り、
「ああ……オレのアイディアなのに……」と落ち込んでいた。
 そこにとぼとぼと花木が近寄り、櫻井の隣にちょこんと座った。
「さっちゃん、よくやったー」と櫻井の肩を叩いて花木が言った。
 それを聞いた、櫻井は
「そんなこと言ってくれるのは、お前だけだー花木」と鼻声で言った。
 すると……外からピーポーピーポーとサイレンが聞こえた。
「おき、聞こえたか?」と三谷が言うと
「聞こえる……警察だ」と明るい顔で言う直樹。
「助かったー」とアッキーと沖野がはしゃいでいる。
 みんなは、外に出てみるとパトカーが3.4台止まってた。
「お〜い、助けてくれ〜」とアッキーが手を振りながらパトカーに近づいた。
 すると、警官2人が公民館の中に入っていった。
 パトカーにいた警官は
「少年6人、無事保護」と無線で話していた。
 みんなはホッとして、その場に座り込んだ。
「そういえば、櫻井」と三谷が囁いた。
「お前、さっきあいつのグーパンチくらってただろ」と櫻井に聞いた。
「思いっきり、ボコられたわ。そんでアバラ折れたしよぉ」とわき腹をさすりながら、櫻井が言った。
「で、これからどうすんの?」と櫻井の顔を見て花木が言う。
「さぁな。中学校爆発させちまったし、ただじゃすまないだろうな」と櫻井は答えた。
「そこは、警察が何とかしてくれるんじゃないか」と横から直樹が言った。
「だといいが……」と暗く三谷が言った。
「そのときは、櫻井が起こられれば良いじゃん」と言ったのはやっぱり沖野だ。
「お前……ボコられたくて言ってるの?」と櫻井は沖野に聞いた。
「いーや。なんかいじりたくなる」と笑いながら沖野が言った。
「オレはいじられキャラになった覚えは無いが……」と櫻井は考え込んだ。
 すると、一人の警官が三谷に話しかけてきた。
「私の名は、野田。君たち、何があったか話してくれるかい?」と偉そうに言った。


2006/04/30
 第八章に続く



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