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第十二章 ラストバトル


 そして……
「これが、レールキャノン……」直樹が上を見上げている。
 レールキャノンは重トラック二台分の大きさのレーザー砲だった。
「田中に言われたように、まずはバッテリーを三つセットするんだ」
 直樹がバッテリーを指差している。
 バッテリーといっても、一個コンテナ並の大きさがある。
「櫻井、動かせ」沖野がにやけながら言った。
「オレ一人じゃ無理に決まってんだろ」当然のことを言う。
「よし、櫻井、やるぞ」
 三谷は腕まくりをし、赤いバッテリーを櫻井と押し始めた。
「コウ、俺たちは黄色のバッテリーを押すぞ」
 直樹がコウに言い、続けて花木、沖野、アッキーに青のバッテリーを押すように命令した。
 残り時間15分のアナウンスも流れた。
 一番先にバッテリーのセットを完了したのは、パワータイプの三谷、櫻井組みだった。
「余裕だったな」
 三谷が言うと、他の二組もセット完了したようだ。
 レールキャノンは発射するのに10分掛かるらしい。
「これであとはX−001を葬るだけだ」直樹がにやけた。
 するとそこにX−001が現れた。
「ガアアアア……コロス……!!」なんか日本語が上手になっていた。
 これは田中太郎の影響だろ。
「来たな。お前はここで終わりだぜ」
〜P43  櫻井の後ろが隠れている花木が指を指しながら言った。
   だが、
「バカメ……ウガアアア!!」
 X−001は自分についているゲルの一部を手に取り、部屋の隅にある機械にぶつけた。
 ガシャン……その機械は煙を上げ始めた。
 しかもセットしたバッテリーが元の位置に戻ってしまった。
「しまった!!」
 直樹はゲルがぶつかった機械へ走っていった。
「何があった?」
 沖野とコウが直樹に近づいていった。
「X−001め……レールキャノンの端末を壊しやがった」
「なんとかなりそうか?」三谷が遠くから言った。
「なんとかしてみせる……コウ手伝ってくれ」
「ういさ」
 直樹とコウは端末をいじり始めた。
「俺たちは何を?」
 花木、アッキー、沖野が直樹に聞いた。
「お前らはバッテリーをセットしてくれ」
「了解!」花木が言った。
「あ〜そうそう、三谷と櫻井は〜」
 直樹は二人に鉄パイプを投げた。
 それを二人ともキャッチした。
「これで俺らに何しろと?」櫻井が聞く。
「決まってるだろ? X−001の足止めだ」直樹が当然のように言う。
「……しゃ〜ね〜な、行くぞ三谷!!」
「おうよ」
 二人は鉄パイプを構えた。
 すると櫻井があるゲームのセリフを言い出した。
「行くぜ三谷、ラストオペレーションセット」
「イン!!」三谷もそれにのった。
「ロッ○マンのパクリかお前ら!?」遠くから直樹が突っ込んだ。
 と、三谷と櫻井は小声で会話をしている。
「かっこつけたはいいが……どうする?」櫻井は三谷の耳元でささやいた。
 三谷も何も考えていなかった。
「ガアアアア!!」
 X−001は巨大な腕を櫻井に向けて振った。
 櫻井はぎりぎりのところでしゃがみ、攻撃をよけた。
 その隙に三谷はX−001の顔面を鉄パイプで殴った。
 X−001はよろめいた。
「う〜ん、息がぴったりだな〜」櫻井が声を出した。
「だな、オマエとやるゲームなんか全て息があうからな」
「よく二人で沖野ぼこぼこにしたな〜」
 そんな会話もつかの間、X−001はゲルの塊を手に持ち、バッテリーを押している花木に投げた。
 三谷が走った。
「うおりゃ」
 三谷は鉄パイプでゲルを叩き落した。
「ガアア……」
 X−001はまたゲルの塊を持ち、花木と反対の沖野に投げた。
「この位置じゃ間に合わん!」
 念のため三谷は走った。
 ゲルはまっすぐ沖野に向かった。
「オレを忘れんなよ!」
 櫻井は沖野の目の前に立ち、鉄パイプを構えた。
「くらえ、デスショット!!」
 謎の必殺技を叫び、鉄パイプを思いっきり振った。
 ――スカッ――グシャ!
 櫻井は鉄パイプを思いっきりフッタはいいが、思いっきり空ぶった。
 沖野はうわっと叫び、ゲルとともに吹っ飛んだ。
「わりぃ、沖野」
 一応謝っているが顔は笑っていた。
「テメェわざとスカッただろ!?」
「そんなことないって」
 やはり顔は笑っている。
 櫻井と沖野のコントをやっている間、三谷は一人でX−001と戦っていた。
「はよ来い! 櫻井!!」
「ヘイヘイ……」
 〜P44  すると直樹が叫んだ。
「レールキャノン発射まであと2分!!!」
 どうやら成功したようだ。
 レールキャノンは青い稲妻を発し、エネルギーをチャージし始めた。
「櫻井、こいつをレールキャノンがあたるとこで倒すぞ!!」
「おうよ、MAXパワーで行くぜ!!」
「行け〜、デブ〜!」
 ボゴンッ!!――櫻井はMAXパワーで沖野を殴った。
「オイ櫻井! MAXパワー無駄遣いしてんじゃねーよ」
 発射まであと30秒。
「櫻井、次が最後の攻撃だ」
「おう」
 二人は鉄パイプを握り締め、X−001に向かっていった。
 残り20秒。
「いくぞ櫻井」
「おうよ!!」
「P.A.ダ○ル・ヒーロー!!」
 二人は声をそろえて叫び、X−001に渾身の二撃をくらわせた。
「ガ、ガァァァ……」X−001は大きな音を立て倒れた。
「正義は勝ーーつ!!!」全員が叫んだ。
 発射まで残り10.9.8.7……  そのときX−001はまた立ち上がった。
「くそっ最後の最後で……」直樹が言った。
「ガァァ……良くやった……ガキども」田中太郎だ。
 4.3.2.1……レールキャノンは轟音とともに、巨大なレーザーを発射した。
 X−001と田中太郎は光の中へ消えていった。
 そして消滅した。
 細胞さえも残らず……
「終わった……」
 アッキーはその場に座り込んだ。
「三谷、櫻井、最後の攻撃名さ……ゼッテェロッ○マンパクッただろ?」直樹が  目を細めている。
「パクッてない、パクッてない」三谷と櫻井が口をそろえていったが、
「嘘つけ!! お前らP.A.のとこまで言ってたぞ!?」やはりつっこまれた。
「そんなこと気にすんなって〜」花木が直樹の肩を叩いた。
「もう夜が明けるよ」コウは腕時計を見た。
 皆はあることを忘れていた。
 爆発まであと3分……
 研究所に振動が走った。
「ヤッベ! この研究所爆発すること忘れてた!!」
 櫻井が叫び、他の皆もあっと叫んだ。
「とにかく出口まで走るぞ!!」
 三谷が皆をリードした。
 七人はひたすら走った。
 振動がおき、研究所が崩れ始めている。
 足音はやむことなく響き渡り、やがて一筋の光が見えた。
 出口だ。
「このまま突っ切るぞ」
 三谷、花木、アッキー、直樹、コウは出口から外に飛び出た。
「櫻井、俺たちも行くぞ」
「……おう」
 沖野が出口を出ようとした瞬間、出口の天井が崩れた。
 このままでは沖野は下敷きになってしまう。
「沖野!!」三谷が叫んだ。
 すると櫻井は沖野にとび蹴りをくらわし、間一髪のところで沖野を出口の外へやることに成功した。
 出口はガレキで完全にふさがってしまった。
 爆発まで後1分……
「櫻井大丈夫か!?」
 三谷は出口のガレキをどけ始めた。
「何とか大丈夫だ……」
 ガレキの向こうから櫻井の声が聞こえた。
 どうやら無事らしい。
「待ってろ、今助けてやる」
 三谷はガレキをどかし続けるが、
「いや、いい。もうすぐ爆発しちまう」
「何言ってんだデブ!!」
 沖野もガレキをどかし始めた。
 爆発まであと30秒……
「先行け。後で追いつく」
 ガレキの向こうから弱弱しい櫻井の声が聞こえた。
「ホントに後で追いつくんだな?」三谷が言った。
「もう行け、時間が無い……」
「……わかった。みんな櫻井置いていくぞ」
 皆無言のまま研究所を後にした。
 爆発まであと10.9.8.7
「オレとしたことが最後の最後に沖野助けちまったな……」
 3.2.1……
 ……研究所は一気に崩壊した。
 田中太郎の研究も、レールキャノンも、全てがガレキと化した。
 跡形も無く、すべて……

2006/6/25 up

第十三章 死闘の果てに


 外はもう朝日が見えていた。
 研究所から脱出した六人は、ただ呆然と朝日を見ていた。
 パトカーの音が聞こえてきて、あっという間に警官が六人を囲んだ。
「野田警部から聞いている。君達を保護する」
 素直に喜べない六人。
「そういえば君達、野田警部はどこに?」
「……死んだよ」三谷がつぶやいた。
「下水の奥にある研究所で皆死んだ……」三谷がまたつぶやいた。
 数人の警官が下水にもぐっていくのが見えた。
 パンツァータートルの死体も発見されたようだ。
「……君達、じっくりと話を聞かせてくれるかい?」
「その前に腹減った……」沖野は腹を押さえて言った。
「じゃあ署でカツ丼でも食べながら話をしよう」優しい顔で警官は言った。
 それを聞いた六人は素直にパトカーに乗り込み、署へと向かった。
「……このカツ丼うめぇな」三谷がカツ丼をかきこみながら言った。
「じゃああの夜何があったのか話してもらおうか」
 三谷たちは包み隠さず全てを話した。
 カラオケBOXのこと、死体を発見して殺人鬼が現れたこと、学校を爆発させた  こと、殺人鬼がん減じゃなかったこと、公民館で大暴れしたこと、野田のこと、  パンツァータートルのこと、研究所のこち、田中太郎のこと、レールキャノンの  こと、櫻井のこと。
「……派手に暴れたね、君達」
 警官はどうしようもない顔をしている。
「まあ学校や公民館のことは僕から言っておくよ」
 警官のしんみりした話を聞きつつ、六人はがつがつとカツ丼を食べ続けた。
「それを食べ終わったら、まず病院で治療してもらおうか」
 ホントに優しい警官であった。
「あと櫻井君も探し出して見せるから」
 六人はカツ丼を平らげ、市民病院へ向かった。
 直樹以外はほとんどすり傷程度で消毒する程度だった。
「本当に終わったな……」三谷がつぶやく。
「今日からまた学校だぜぇ?」
 花木と沖野はとても嫌そうな顔をしている。
「生きてるだけマシだと思えよ」
 直樹が説教し、六人は自分達の家へ帰っていった。

2006/6/25 up

終章 ありきたりな学校生活


 そして六人はろくに睡眠も取れず学校に登校した。
「……ねみぃ」
 三谷があくびをし、沖野もあくびをした。
 櫻井の机には花が置かれている。
 どうやら死体は発見できなかったものの、死亡扱いされているらしい。
 学校では臨時の朝礼も行われた。
 内容は学校が爆発した原因は不明で、そのガレキで櫻井が死んだということだった。
 もちろん先生が作ったうそだ。
 朝礼も終わり3−Aの教室へ戻った三谷と沖野。
「暇だなぁ〜……」三谷がしゃべる。
「デブーー!」沖野が急に叫んだ。
「うっせーな、何だよデブって?」
「櫻井がいないうちにデブ連発するんだ。目の前で言うと殴られるだろ?」
 三谷には沖野の言っていることがさっぱり分からない。
 だが、沖野はまだ叫び続けている。
「デブー! 悔しかったら殴ってみろー!」……ボコッ!
「ぐはぁ!!」沖野はその場で倒れた。
 三谷は口をあけたままだ。
「ったく、デブデブうるせぇなテメェは……」聞き覚えのある声。
「誰だよ、オレの机に花置いたヤツは? 沖野か?」
 それは正真正銘櫻井の姿だった。
 右ほほにシップを張っているものの、いたって元気そうだ。
 天使のわっかも無い。
 死んではいないようだ。
「どうして生きてんだ、櫻井?」沖野はうずくまりながら聞いた。
「ん、生きてて悪いか?」冷たい櫻井。
「どうやって生き延びたか教えてくれ、櫻井」今度は三谷が聞いた。
「OK」即答だった。
「出口の上の部屋は、どうも田中太郎の実験装置保管庫だったらしくてな。ある装置を発見したんだ」
「ある装置?」
「田中太郎も使ってた、超電磁力マシーンだ」
 超電磁力マシーンとは、物理攻撃を受け流すアレだ。
「おーい、みたくーん」
 コウと直樹が姿を見せた。
「よう……」櫻井は二人にあいさつしてみた。
「うわっ櫻井の亡霊か!? しっしっ……」直樹がボケた。
「うわー、ひでぇ言われよう、オレ」
 続いて花木とアッキーも姿を現した。
「よう、花木、アッキー」またあいさつしてみた。
 アッキーはオバケ、オバケ、と言い気絶してしまった。
 花木は
「えーと、どちら様?」だ。
 櫻井は復活したばかりでかなりいじられているご様子。
「お前ら、ヒデェ……」
「冗談だって、冗談」
 3−Aの教室で7人は馬鹿笑いした。
 また今日からありきたりな学校生活が始まったのだ。


 エピローグ

 悪夢は去った。
 三谷たちはまたありきたりな学校生活を送っている。
 だが忘れてはいけないことがある。
 まず犠牲になった人々のこと、
 そして……
 あの悪夢が現実だということを……

 悪夢はけして終わることはないということを……


 あとがき
ナリ:終わったぁ!! お疲れ様、オレ!! 小説書くのって楽しいなぁおい! つってもマジ疲れた……しかもあとがきって何書きゃいいんだ!? しかも計48Pってすごくね? オレの初作だぜ?これ。まぁ最後は櫻井が主人公っぽくなっちゃったけどまぁいいか〜。
ゆう:よくねーよ、バーカ。一応オレも書いたし
ナリ:う……何にも言えねぇ
ゆう:フンッ……
コウ:二人ともお疲れー
ナリ:あ、コウ……
ゆう:めんどくせーからとっとと終わるか
ナリ:だな、疲れた……

END

コウ:あとがきてきとーすぎっ!! 人のこと言えんけど(笑)

2006/6/25 up



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